【1-2】反則から相手の動きを読もう
【1-1】では「反則」がついたて将棋の独特なルールであることを紹介しました。反則は積み重ねれば負けに直結しますが、反則から相手の動きを予想することができるのです。
上図は初手▲9六歩△???▲9七角と進んだ図です。ここで4手目に相手が反則をしてきました。あなたならこれをどう見ますか?
例えば【1-1】で見た反則の例を思い出してみると、『相手は△8八角成と角交換を狙ってきたが、7七に歩があったので反則になった』と予想を立てることができますね。
しかし相手の立場になってみると、まだ4手目で根拠もないのに角道が開いているという願望で角交換を狙うのはちょっと無茶な気がしますし、反則になったら勿体無い気がしますよね。他に反則の候補はないでしょうか?
例えば候補として▲9六歩△5四歩▲9七角のあと4手目△4二玉の反則が考えられます。こちらの方が反則の理由としては自然ですね。
この予想が正しいならば、相手は反則を1回消費した上に、本来こちらが分かるはずのない2手目が△5四歩だとバレてしまったことになります。
(この場合だと、手順前後で2手目△4二玉、4手目△5四歩で反則した可能性も考えられます。反則の内容は正確には分かりませんから、得られる情報も正確ではありません。)
さらに考察を進めると『相手は中飛車にしようとしていたかもしれない』『王様をそちらに移動するなら四間飛車や三間飛車の可能性は薄いかな』と予想することができます。もちろん、相手もこちらに読まれてることを察知しますから簡単ではないですが、このように反則が起きたところで発生する読み合いもついたて将棋の醍醐味です。
以下、▲5八飛▲5六歩▲4八玉と中飛車にして戦いを進めていったところ。。。
なんといきなり9七の角が取られてしまいました。一体何が起こったのでしょう。
実は、相手は4手目の反則でこちらが端角であることを予想し、桂馬で角を取りにきていたのです。反則で情報を得たのはこちらだけではなかったのですね。
もちろん、相手が端角を狙ってくることを見越して端角を逃げておくこともできますし、あえて端角をそのままにするのも戦略です。
端角をめぐる攻防に関しては、また別の記事で取り上げようと思いますのでここまでにしますが、たった1つの反則からでも様々な読みが発生してくることが分かっていただけたかと思います。
反則が起きた時は、なぜ反則なのかを考え、さらに相手はその反則でどのような情報を得ているのかを考えることが大切です。
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