ついたて将棋をはじめよう!

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【2-1】叩きの歩

カテゴリー2では、ついたて将棋でよく使用される手筋について紹介していきます。本将棋でも有名なものから、ついたて将棋独特のものまで様々です。ついたて将棋でのみ使用される用語も多数あります。

今回は、本将棋でもよく見られる「叩きの歩」について紹介します。

 

「叩きの歩」とは、相手の駒の1マス前に歩を打つことです。本将棋では、相手の陣形を崩したり、両取りなど他の技と連携させたりするために使用されます。

ついたて将棋では、相手は歩を叩かれた事実を見ることができないため、駒得を目的として使用されることが多いです。簡単な棋譜の例を見てみましょう。

 対局開始から4手連続で飛車先の歩を突く居飛車速攻と呼ばれる戦術の棋譜です。相手も同じ戦術だったため、8二に相手の飛車がいることが確定しています。こういった存在が明らかな駒のことを「確定駒」といいます。

先手はこの飛車を狙って▲8三歩と指しました。これが「叩きの歩」ですね。当然、次の手で▲8二歩成を狙っています。相手からはこの歩打ちは見えていません。この後の展開をついたてを外した状態で見てみましょう。

先手は大きな駒得をすることができましたね。不安要素としては『相手が△3四歩を指したという事実が分からない』という点ですが、それほど大きな影響はないでしょう。先手が優勢で対局が進んでいくように思えます。

 

では、仮に相手が『叩きの歩をされているかもしれない』と警戒して歩を取りに来た場合はどうなるでしょうか。見てみます。

先手は歩を1枚損していますが、次の手番は先手なのでほぼ互角に近い形になったように見えます。

他にも後手側の対応はいくつか存在しますが、最終的に後手が優勢になるためにはシビアな読みと運の良さが必要になるでしょう。今回例に挙げた叩きの歩は、非常に有力な手だったことが分かります。

 

確定駒に対していつでも歩を叩くのが有効とは言えませんが、叩きが成功した時に相手は相当な痛手を負うため、相手は歩を叩かれるのを警戒せざるをえません。確定駒は次の手で移動させるのがセオリーとも言われるほどです。また、相手からの叩きを警戒する場合は『相手が叩く歩を持ち駒に持っているのかどうか』をしっかり把握しておくことも重要になります。

 

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